THIS IS US

海外ドラマ・映画・演劇

今、夫婦で最もハマっているテレビドラマ、THIS IS US。本国アメリカではNBCにてSeason 4が放送中で (2020/04/19追記:3/24にラストの18話が放送されたようです)、日本ではAmazon Prime VideoでSeason 3まで日本語字幕付きで見られます。昨年までは週一回、NHK BSで放送がありました。

アメリカ・ペンシルヴァニア州ピッツバーグ。ドラマのメイン脚本家、Dan Fogelmanが子ども時代を過ごした土地だそうで、アメリカの各地(ニューヨーク、ロサンゼルス、ニュージャージー、フィラデルフィア)をかけめぐるこの作品でも、家族の思い出の中心地として大切に描かれている場所です。時代を自在に行き来しながら次から次へと新しい登場人物を投入してくるため、その情報の整理につい頭を使ってしまい、うまく把握できるとそれだけで満足してしまいそうになります。ところがどうやら、ピッツバーグ地元民からすると、ドラマで出てくる店や起こる出来事がいちいち心をくすぐられるものらしく、大きな魅力のようです。盛り上がりに貢献している一番大きな要素としては、ピッツバーグを本拠地とする、実在のアメフトチーム「Pittsburgh Steelers(ピッツバーグ・スティーラーズ)」の戦績で、ドラマの中でこのチームが試合で大活躍するとピアソン家にも幸福が訪れ、そうでない場合不幸に苦しめられる、といった連動具合です。アメフトの要素は確かにシーズンを通してよく出てくるとは思っていましたが、ピアソン家の地元への愛着、さらに言うと脚本家のピッツバーグ好きを表現する仕掛けだったのですね。ピッツバーグ在住のライターNicoleさんがこのあたりのことをまとめてくれていて、なるほどなあと思いました。彼女の記事へのリンクを貼っていますが、ドラマの内容に触れているので、先に本編の視聴をおすすめします。

このドラマについては、ネタバレ厳禁というか、分かってしまうと本当に悔しい気持ちになるので、ウィキペディアでも欲しい情報のところだけを読んで、先の情報を仕入れないようにとにかく目を細めて見ています。ついさっき、うっかりしていて先の内容に触れた英語記事を一瞬見てしまい、やっちまった…とひとり嘆いています。そんな厄介な心意気を持っているせいで、このドラマを人に勧めるくせに、あらすじを説明したことはほとんどありません。

どこで見たか忘れましたが、構想ではSeason 6まであると制作者が言っていたような…。Season 3を見ている最中の私にとっては、まだあと3シーズン分あるかもしれないというのは(少なくともSeason 4はある)心躍らずにはいられないくらいうれしい。うれしい一方で、このドラマの特徴として、シーズン、エピソードが進むごとにさらなる困難が登場人物を襲うので、恐ろしさも同時に感じています。それでも、もしかしたらアメリカにいる間に、実際の放送が現地で見られるかも?という期待もあり、このまま続いてくれたらなと思っています。

(2020/04/19 追記)シーズン3の最後まで、先日見終えました。それぞれにドラマチックな展開は訪れるものの、今シリーズはランダル夫妻の印象が強かったですね。シーズン2まではベスの詳細なバックグラウンドはほとんど語られず、賢いタフな奥様であり母というイメージでしたが、シーズン3は剥き出しの部分も見えました。いとこのゾーイとも共通しますが、人に迎合するのを心の(魂の?)底から受け付けないキャラクターです。いやあ、それにしてもランダルとの大喧嘩は見ものでした。”Close the door!” は迫力満点でした。…とは言いながら、このシーズンの最大の驚きは別にあります。長く伏線を張ってきたベトナム編がついに明らかになり、11・12話「ソングバード通り(前編)(後編)」で一応の決着を見ますが、思ってもみなかった方向へ転換しました。真相を知ってケヴィンは荒れていましたけど、あのヒーローっぽさはまさに父譲りという感じでした。

シーズン3も変わらず、心に一言一句書き残したいほどの素晴らしいセリフが続きましたが、一番好きなのは第6話のデジャのセリフです。悲惨な境遇を経てランダル一家の養子となった彼女は、いつも淡々と家族の様子を観察しています。そんなデジャだからこそ、ベスに以下のような反応をさせたのかもしれません。

Deja: He loves you like he’s in a Disney movie or something. He hears tiny forest animals singing or playing kazoos or something, whenever you walk into a room. But if you’re sad, then you should talk to him. He’ll tell you-you’re exceptional and he’ll say it so easy that you’ll believe it.
Beth: Wow you are really good at these talks.
Deja: Living in this house for a while, you find your way around a talk.

ベスとランダルの関係を「ディズニーみたい」と表現するのが、中学生女子らしくて心をくすぐられます。このドラマの多くのキャラクターは年齢で言うとかなりの大人なので、経験値の高い洒落た会話をしていても納得できます。そういうテクニックをデジャに使わせることなく、彼女の世界に存在していそうな言葉を正確に選び取って、それでいて核心を突く会話に仕上げていることに、ものすごく感動を覚えました。彼女の顔つきもだんだんと変わってきて、ますます目が離せません。

以上、少し追記するだけのつもりだったのに、たくさん書いてしまいました…。

Photo by Avel Chuklanov on Unsplash