タングルウッド音楽祭

アメリカ

毎年6月~9月の夏の期間にマサチューセッツ州西部のレノックスで開催される「タングルウッド音楽祭 (Tanglewood Music Festival)」に行ってきました。会場は、ボストンからは車で西へ3時間ほど走ったところにある丘陵地帯に構えられており、美しい自然に囲まれたホールで音楽をゆっくりと楽しむことができます。マサチューセッツ州内で行われるイベントの中でも最も有名なもののひとつで、ボストン交響楽団 (Boston Symphony Orchestra、通称BSO) を中心に、特別に招かれた様々な音楽家たちの生演奏を聴くことのできる夏の催しです。

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私たちは今回が初めてで、「ボストン日本人会」の日帰りバスツアーの企画に参加させてもらう形でタングルウッド音楽祭に行ってきました。行きと帰りのバス往復6時間を運転してくれた運転手や、企画の担当者にはとても感謝しています。

さて、私たちはボストンを午後2時頃出発し、途中渋滞を挟みながら、夕方の5時半頃にメインゲート前に到着しました。到着して驚いたのがお客さんの数、それから彼らが持っている荷物の量!この音楽祭の聴衆は、ステージにほど近い屋根付きの指定席 (シェド席)、あるいはその周辺に広がる芝生席のどちらかのチケットを購入することになっています。芝生席については、ピクニックシートやキャンプ用の椅子、飲食物の持ち込みが許可されているため、家族総出でクーラーボックスやら荷物を載せたカートをゴロゴロと転がす人たちがたくさんいます。さながらキャンプのような雰囲気です。開場時間の夕方5時半前には、お客さん(と荷物) がずらりとメインゲート前に列をなし、各自入場後は夜8時からの演奏会までの時間を思い思いに過ごします。会場はとても広いので、好きな場所にピクニックシートを敷いてくつろぐも良し、お土産物屋で買い物を楽しむのも良し、レストランやビアホールで過ごすのも良し、フリスビーを投げながら駆け回って遊ぶのも良し…と自由です。アルコール飲料の持ち込みは許可されていますが、会場内のビアホールで買った場合は店外持ち出し禁止となっているので、広い芝生の上で飲みたい場合は持参するのがお勧めです。

開場時のメインゲート前。長い長い列が形成されます。
開場後すぐの時間は芝生席も余裕があります。ただ、ホールに近い辺りの競争率は激しそうに見えました。私たちは指定席を買っていたので、席取りには参加せず、持参したピクニックシートを後方の空いているところに広げてくつろいでいました。
ホール正面側の芝生席はとても混み合うようです。ピクニックシートの上に直に座っている人はあまりおらず (子どもや若い人くらい)、椅子を持ってくる率が高いことが分かりました。カラフルでにぎやかな光景です。
こんな開けた場所もあります。開演まで時間があるので、広い場内を散策するのも楽しいです。

夕暮れとともに開演時間が近づくと、シェド席のチケットを持っている人たちがホール近くに集まりはじめます。下は開演時間直前の様子ですが、全席完売ということがよく分かる埋まり具合です。私たちは「ボストン日本人会」の団体扱いで、シェド席の中で最も後方の位置でした。

この写真のステージ側以外は壁がない状態になっているので、芝生席の人も音楽を楽しむことができます。マスクの着用は自由ですが、密閉空間ではないため、あまり着用している人はいませんでした。

私たちが訪ねた日 (2022/08/20) の演奏会は、”John Williams The Tanglewood 90th Birthday Celebration”というタイトルで、『スター・ウォーズ』を始めとする様々な映画音楽を世に送り出してきたJohn Williams氏の生誕90周年を祝う内容になっていました。この日の公演は特に人気があり、早々にチケットも売り切れていたそうで、後で近所の人に話したらとても羨ましがられました。事前情報で、チェリストのヨーヨー・マやシンガーソングライターのジェイムズ・テイラーもステージに登場すると聞いていたので、私も楽しみにしていました。

開演直前、会場で急に拍手が沸き起こったので何かと思ったら、客席にJohn Williams氏ご本人が登場!私の席からは直接は見えませんでしたが、スクリーンにたびたび客席を映してくれたので確認することができました。映り具合があまりにきれいだったので、私も周りのお客さんも「幻か?」「本当にいるのか?」と半信半疑でした。とても御年90歳には見えない若々しさがスクリーン越しにすら感じられました。

照明も相まってか、輝いているJohn Williams氏。私の隣の席の人が大きな声でHappy Birthday to you~♪と歌い始めて驚きました。

演奏会は2時間ほどでした。曲目はすべてJohn Williams氏がこれまでに制作したものの中から選ばれ、私としては初めて聴く曲も多かったです。途中、BSOとソリストとのコラボレーション曲が披露されたり、John Williams氏に縁の深い人々 (映画監督や音楽家たち) がビデオレターを寄せたりという場面もありました。他の演奏会と同じく、演奏中の録画録音は禁止されており、見つけ次第スタッフが注意に駆け寄っていました。

演奏会の終盤では、John Williams氏が舞台に招かれ、インディ・ジョーンズの楽曲で指揮を披露して、この日一番の盛り上がりとなりました。終わりは夜の10時20分頃になったと記憶しています。

そこから、またボストンに向けてバスで3時間!帰ってきたのは夜中の2時前でした。なかなかの争奪戦だったらしいこのコンサートに行くことができて、とてもありがたかったです。次回も、また何らかの演目を観に行ってみたいと思います。