2022年9月に行った、3週間のアメリカ横断旅行の振り返り、最終回です。
過去の記事はこちらから。
- 「ボストンからコロラドへ アメリカ周遊旅行計画」
- 「周遊旅行①ボストン~コロラド入りまで」
- 「周遊旅行②コロラド・ユタ観光地巡り」
- 「周遊旅行③コロラド州テルユライド」
- 「周遊旅行④コロラド南西部~ジョージア州アトランタまで」
旅行16日目、ジョージア州アトランタからサウスカロライナ州を経由して、ノースカロライナ州シャーロット近郊の町までを目指します。車では3時間50分の距離です。
途中休憩で、道中にあるサウスカロライナ州のグリーンビル (Greenville) という町に寄りましたが、メインストリートはとても雰囲気が良く、いくつもお店を周りました。「Mast General Store Greenville」(111 N Main St, Greenville, SC 29601) は1883年から続く歴史の長い雑貨店で、元々は地元住民のための生活用品を販売していたそうですが、現在は雑貨のほかにアウトドア用品やお土産物、色とりどりのキャンディを売っています。私たちはお友達&大家さん用のお土産を選びつつ、夫が好きなキツネマークでお馴染みのFjällrävenの鞄を買いました。他には、すぐそばにある「Savannah Bee Company」(123 N Main St, Greenville, SC 29601) ではちみつやリップクリームを、「Greenville Soy Candle Company」(209 N Main St B, Greenville, SC 29601) でキャンドルやハンドクリームを購入しました。キャンドル店の店員がなぜか服にポケモンのポリゴンの缶バッジをつけており、興味を引かれた夫が話しかけると、すごく嬉しそうにしていたのがかわいかったです。メインストリート一帯は何かのイベント中だったのか「不思議の国のアリス」関連のコスプレをしている人が多く、さっきのポリゴンお兄さんも相まって、非日常の雰囲気が漂っていました。また来てみたいエリアです。
私たちがグリーンビルを後にしシャーロット方面へ向かう道中、車内のOdometerがぴったり90,000マイルになり、思わず撮影しました。昨年11月に約79,000マイルで車を購入したのが始まりで、今回の旅行開始時が86,050マイルだったため、この2週間と少しで4,000マイル分くらい走ったということですね。

サウスカロライナ以北の道のりでは、道路脇に茂っている木の本数が随分と増えました。これまで中西部・南部を走行している時は、車のフロントガラスめがけて無数の虫が激突してきていましたが、サウスカロライナ以北ではそういうこともなくなり、ガラスがすっかり汚れなくなって助かりました。
この日の宿は、シャーロットにほど近いMount Hollyという町でした。夕食は地ビールレストラン「Traust Brewing」(128 S Main St, Mt Holly, NC 28120) を訪ね、ビールを飲みつつ南部料理の定番「Shrimp & Grits」を食べました。普段ボストン近郊で生活しているとなかなか見かけない料理です。


地元ならではの食事を楽しんだ後帰宅すると、泊まっている宿のオーナー(ご夫婦) から「どこに食べに行ったの?」と聞かれたので、「Shrimp & Grits食べてきました!」と報告をしました。こういうちょっとした交流も、私にとっては旅の楽しみの一つです。お宅のリビングに素晴らしくきれいなアクアリウムが置かれていたので、「きれいですね」とご夫婦に声をかけたところ、「夫の趣味なんですよ」と言われ、旦那さんの方を見ると得意顔をしていたのが面白かったです。
17日目は、ノースカロライナ州シャーロットを経由して、バージニア州リッチモンドへ向かいます。運転時間は4時間半ほど。日曜日なこともあってか、ビジネス街のシャーロットではあまりお店が開いていなかったので、早めに切り上げてリッチモンドへ向かうことに。道中の中華料理店でお昼休憩を取りました。
この日は朝から天候が悪く、高速道路を進んでいるときに激しい土砂降りがありました。このような場合は走行中の視界が非常に悪くなるので、運転には注意が必要です。私たちは右側の遅い方の車線に入り、△マークのハザードランプを点灯させながら、周りの状況に合わせてゆっくり走りました。長い旅行をしていると、本当に様々な道路状況を経験します。
リッチモンドに入りこの日の宿に到着した時も天候はあまり回復していなかったため、夕食はお昼の中華の残りを食べて済ませることに。旅を続けているうちに車内が雑然としてきてしまっていたので、荷物はこの日のうちに整理し、この先のホテル滞在で必要なものをまとめておきました。またまたAirbnbに泊まったのですが、私が荷物の整理をしている最中、玄関に置かれていたプラスチック製の靴置きの縁をうっかり踏み、一部を破損してしまいました。慌てる私を見た夫が「早めにちゃんと伝えておいた方がいいよ」と言ったので、すぐにオーナーに連絡しました。どういう返事があるかと思っていたら、「気にしないで大丈夫です。あなたに怪我がなくて良かったです!」と、私の予想を超える優しい言葉が返ってきました。その後も温かい言葉の連続で、不測の事態があっても相手を思いやる言葉をかけられるこのオーナーに私は心を持っていかれました…。感謝の気持ちを書いたカードを部屋に置き、この日もぐっすり眠りました。
翌朝、リッチモンド中心部でいくつかお土産を調達してからワシントンDCへ向かいます。移動時間は車で2時間ほどでした。数々の名所で知られるワシントンDCですが、夫と私は旅行18日目にして初めて別行動を取りました。というのも、私が最初に行きたい場所がスミソニアン系列でも「the least known Smisonian」と言われている「国立郵便博物館 (National Postal Museum)」(2 Massachusetts Ave NE, Washington, DC 20002) だったからです。夫は他のスミソニアンから周りたいとのことだったので、それぞれソロ活動のスタートです。

私は普段から手紙を書くことがとても好きなのですが、それと同じくらい「切手」が好きです。日本では、季節ごとに発行されるオリジナル絵柄の切手シートを買って心を躍らせていたのですが、アメリカに移ってからはForever Stampの収集に切り替わりました。網羅的というわけではなく、気に入った絵柄があったら買うという程度ではあるものの、折に触れてUSPSの公式ページを見て新デザインがないかチェックしています。そんな私にとって、切手が豊富に見られる博物館なんて、楽しい以外の何物でもありません。
館内展示では、アメリカでこれまで発行されてきた切手の中で、特に歴史的な価値が高いものを厳選して並べてあります。切手の現物となぜその切手が重要であるか、同時代にどのようなことが起こっていたかが解説されており、小さな切手をめぐるドラマを知ることができます。


世界の切手コーナーもありました。こちらでは、地球全土の切手が大陸ごとにカテゴリ分けされて飾られており、何時間あっても見足りないほどです。パネルが引き出し式になっており、気になるエリアを引っ張ると切手が見られるようになっています。


このパネルの近くに、過去に世界で発行された切手を6枚だけ持ち帰ることができるスペースが設けられています。こんもりと盛られている切手の中からマイ・ベスト6枚を見つけるのは宝探しのような感覚でした。

最後に併設のギフトショップに立ち寄りました。心惹かれるお土産を発見し、即購入です!



気分よく「国立郵便博物館」を後にし、夫との合流までにまだ時間があったので、「ワシントン・ナショナル・ギャラリー (National Gallery of Art)」(Constitution Ave. NW, Washington, DC 20565) へ行きました。こちらも入場無料で、世界の名画や彫刻を楽しむことができます。特にお気に入りだったのはスーラの展示と、毎度拝みたくなるフェルメールの展示です。


美術館を見て回った後は夫と合流し、夕方から夫の学部生時代の友人ご夫妻のお宅にお邪魔しました。豪華な和食を準備してくださっていて、とてもおいしかったです。二人とも元気そうで何よりでした。
この日はホテル「The Churchill Hotel Near Embassy Row」(1914 Connecticut Ave NW, Washington, DC 20009) に泊まりました。町中にあり、きれいな室内で良かったです。アメニティがMolton Brownだったのはちょっと嬉しかったです。
旅行19日目は、午前中から「国会議事堂 (U.S. Capitol)」 (First St SE, Washington, DC 20004) ツアーに参加しました。ツアーは月~金曜日の午前9時から午後3時半まで開催されており、なんと無料!参加には事前予約が必須です。混雑が予想されるため、予約時間30分前の到着が推奨されており、私たちは10時頃に指定の集合場所であるVisitor Centerへ行きました。案の定、入口には長蛇の列!しばらく並んだあと、ようやく建物の中に入れました。建物内には、水を含む飲食物の持ち込みが禁止されているので注意です。

ビデオを見た後は、赤いジャケットを着た係員がお客さんを20名程度ずつグループ分けします。私たちは、Game of Thronesの登場人物、サムウェル・ターリー似のガイドさんが担当になりました。ツアーは45分間で、1820年代に建設された40の柱が立ち並ぶ 「the Crypt」 (地下室や納骨堂に雰囲気が似ていることからそう呼ばれるそうです)、1818~1824年にかけて建設された円形の広間で、現在は上下両院の共同決議や要人が亡くなった際の正装安置の場として使われている「the Rotunda」、1815~1819年に建設された、元々は下院議員のためのホールであった「National Statuary Hall」の3か所を周ることができます。
the Cryptを歩いているときには、元々はジョージ・ワシントン夫妻を埋葬する予定で地下の空間が確保されていたものの、結局遺族の意向によって埋葬が取りやめとなったという話がありました。今も地下は空いたままになっているそうです。
the Rotundaは、天井の高さが48 feet (=約14.6m)ほどもあり、窓ガラスから入り込む光がホールを明るく照らしていました。壁面の装飾は、歴史上の重要人物や出来事を描いた作品に統一されており、まず目を引くのが独立戦争期の画家ジョン・トランブルの4つの作品です。『独立宣言 (Declaration of Independence)』は、世界史の教科書か資料集に載っていたような。レリーフや彫像もたくさん配置されています。

最後に訪れたNational Statuary Hallは、かつて下院議員たちがデスクを並べていたという広いホールです。リンカーンの机はあそこにあったんですよ、とガイドさんがホールの隅を指し示してくれた時は皆さん特に興味を引かれたようでした。とても立派な作りのホールですが、円形劇場を模した設計で壁面が滑らかであったことで、荘厳な雰囲気はあるものの、音が響きすぎるのが問題となりました。各州に2名ずつの上院に比べ、下院は人口に比例して議席が設定されるため、大人数。ホールは常に下院議員たちの声でワイワイガヤガヤ。落ち着いて物事を話し合うことが難しく、ホールには様々に手を加えてみたものの根本的な解決には至らなかったそうです。最終的には下院議員用に別の部屋を作ることになりました。
現在National Statuary Hallと呼ばれているこのホールには、アメリカの偉人をかたどった30体の彫像が並んでいます。いずれも台座にはそれぞれの人物の出身州が大きく刻まれており、各州からの出資&熱意を基に制作されたのだそうです。ガイドさんは、「どの像が気になりますか?どれでも選んで僕に聞いてください!」と頼もしそうに言い、お客さんが指した像について説明を始めます。名前と出身州、どのような業績を残した人かという内容を教えてくれるのですが、よどみない解説がスラスラと続き、目が点になりました。誰もが知る有名人ばかりではなく、地方の名士も含めて彫像化されているので、結構マニアックです。話を聞きながら、このガイドさんがだんだんとポケモンマスターに見えてくるようになりました。お客さんの中には、生き字引感漂うおじいさんもいたのですが、その対応もお見事で感心しました。こんなに充実した見学が無料でできるなんて、素晴らしいです。
ツアーを終えた後は、ギフトショップに立ち寄りました。今回の一連の旅行記事で何度か登場しているカラフルな地図は、このショップで買ったもので、お気に入りです。サイズはA3くらいで裏面は白地図、全体がラミネート加工されており丈夫です。州の位置を確認したいときに便利で、早速よく使っています。$3.95でした。

その後、併設のカフェテリアで昼食を取り、車に乗ってフィラデルフィアに向かいました。約2時間40分かけて到着し、宿近くのイタリアンレストラン「Il Ghiottone」(2723 E Cumberland St, Philadelphia, PA 19125) で夕食を取りました。紙のメニューに載っていない日替わりメニューが豊富で、お酒は各自持ち込みOKというスタイル。ご近所のお客さんがふらりと来ては食事をしていくという気軽な雰囲気でした。食事のついでに、レストランそばのコインランドリーを使い、溜まっていた洗濯物を全部きれいにできて助かりました。その後帰宅し、就寝!
旅も大詰めです。20日目からの2泊3日は、久しぶりにニューヨークに滞在しました。私たちがフィラデルフィアを出たのはまだ暗い、朝6時半頃でした。というのも、夫は朝からニューヨークで会議が入っているのです。夫は助手席で仕事の準備があるので、私が運転手の役を務めました。道中の混雑を予想していたので早めに出発したものの、ニュージャージー・ニューヨークの州境辺りで特に激しい渋滞に巻き込まれました。使っているカーナビWazeが、渋滞状況に合わせて代替ルートを様々に提案してきます。私は普段とても方向音痴で、たぶん空間把握が苦手なのですが、今日この時だけは道を間違えるわけにはいかない!という状況になり、神経が研ぎ澄まされました。渋滞で元々の想定よりも1時間押しだったものの、まるで熟練ドライバーが宿ったかのような走行をし、会議開始の10分前くらいに夫を会場まで届けることができました。
私は重要任務を終えてやっと一息です。この日のお昼と翌日の夜は、ニューヨークに住んでいた頃のお友達と久しぶりに食事をしました。早速、これまでの旅で調達したお土産を渡します。夫は仕事やらその他用事やらが入っており、別行動。NY入り当日の3時間半神がかりドライブの疲れもあり、滞在中にほとんど観光はしませんでしたが、一軒だけ、「Strand Book Store」(828 Broadway, New York, NY 10003) に立ち寄っておきました。「人生に一度は読むと良い小説」と銘打たれた中の1冊を買い、序盤のあたりをパラパラ読みました。毎日移動、移動の日々だったので、その場から動かず文字を左から右へ読み続けることに大きなヒーリング効果を感じました。
最終日の22日目、夫は朝からNY州ヨンカースでゴルフレッスンを受け、私は近くの町ブロンクビルのダイナー「Bronxville Diner」(112 Kraft Ave, Bronxville, NY 10708) でのんびり夫を待ちます。NY州に住んでいた頃、車の免許を取るために1時間個人レッスンをしてもらったのがこのブロンクビルでした。このダイナーは以前通りかかった時ににぎわっていて、いつか入ってみたいと思っていたのでちょうどいい機会になりました。メニューが豊富で、この日も多くのお客さんが来ていました。
さて、夫のレッスンが終わったので、ボストンに向かって車を走らせます。コネチカット州を経由してマサチューセッツ州に入ると、周囲を走る車のプレートが見慣れたマサチューセッツ州のものに。仲間が増えたような気がして嬉しいです。その後は何事もなく穏やかにボストン (ケンブリッジ) までたどり着き、自宅に戻ってきました。ちょうど大家さんとも自宅前で会い、この3週間に溜まっていた郵便物をお知らせしてくれました。ここからまた日常生活再開です。
車からどっさりと荷物を下ろし、旅の締めくくりです。数えてみると、走行したのは25州にのぼっていました。今後、この数を増やしていけるでしょうか。アラスカとか、行く機会あるかな?

全5回の旅行記事となりました。長々と読んでくださり、ありがとうございました。